シャキーン!考

嫁さんと僕が付き合い始めたころから時計代わりに使っていたNHK教育の朝の番組群。その筆頭がシャキーン!だ。これはこれから出かける視聴者の目をシャキーンとさせるのが目的であるには違いないが、よく考えてみるとこのタイトルには実に深い意味がある。
モノローグしかり、ナットクいかへんねんしかり、クノーチェしかり、この番組の根底に常にあるテーマは徹底して「モノ」の擬人化だ。モノがしゃべり、自身のアイデンティティに悩み、自分がどうあるべきか考える。モノだけじゃない。株式会社ZOOも、人間が我が物顔で跳梁跋扈する世界を前提として、動物たちがその世界をいかにもっと住みよい世界にするかを考えている。そんなモノや動物たちの姿はあまりに諦念に満ちており、達観しきっている。さまざまなモノがナットクいかへんと叫んでいるが、この世界で一番偉い人間に名づけられた以上、この名前を変えることは不可能だと悟りきっているのだ。
こう見ると、面白おかしくモノたちの悲哀を綴っている妙な番組ということになりそうだが、もちろん、それらは人間の思い上がりの裏返しでしかない。この番組は、徹底して人間から見たモノに対する身勝手な視点を強調することで、人間たちの身勝手さを思い知らせているのだ。NHK教育は、子供たちにやんわりと人間の身勝手さを植え付け、その反動としてのモノたちの壮絶な怒りを教えているのだ。そう、シャキーン!というタイトルは、モノの目覚めを示唆しているのだ。溜まりに溜まったゴミ、自分のすみかを追われる動物たち、それらが今反乱の狼煙を掲げて目覚めようとしている。この番組は、地球の生態系を覆す革命が起きようとしていることを警告していたのだ。



ネタだったらちゃんとネタって書きなさいと嫁さんに怒られた。