パーシャ!(ロシア映画「春のめざめ」感想)

今、千葉の実家から更新してます。嫁さんも隣にいます。こんなにもっさりしてたっけなキーボードのタッチ
急にオヤジが、一緒に映画観るぞとか言い出したので、仕方ないから付き合いました。よくうちのオヤジは自分の趣味に人を巻き込もうとします。
『春のめざめ』ってタイトルのアニメ(劇団四季のやつとは全く別物)なんですが、全編手描き?の絵の具タッチというか絵の具で描かれたロシア映画です。
なんといいますか、皆さん、美術館とか行って、この絵が動いたらいいのになーとか思ったことありませんか?まあないにしても、油絵が動いたらすごいなーと思うでしょう?そういう映画です。
適当なところで一時停止を押しても、それだけで絵になってしまうすごいアニメです。よくこんなの作る気になったな、と思います。波の動きとか、風に揺れる布とかの動きを描く労力を考えただけでムズムズなります。
ストーリー云々より、「あ、油絵が動いてる〜!!」って感動と、雰囲気を楽しむのが正しい見方だと思います。(半分寝ながら観てた人の感想)


嫁さんは、主人公の中二病っぷりに苦笑してました。いや、16歳だから高二病かな。
(こっから嫁さんの感想です)主人公が二人の女に同時に惚れときながら、清らかな愛をしようとしている矛盾っぷりがなんとも。近所に息子の嫁を寝取ったおっさんがいたので、潔癖になるのは仕方ないんですけどね。ちなみにそのおっさんは息子に殺されたし、そのおっさんが持ってた牛が、ヒロイン(メイドさん)に横恋慕する下品そうなおっちゃん?を殺した。昼ドラか。
主人公は、いわゆる「恋に恋してる」という状態。メイドさんに惚れたのは、身近で優しい人だったからで、近所の令嬢(年上)に惚れたのは、芸術品を見て美しいなと思うのと同じようなもの。
清らかな愛をするんだ、俺は人とは違う!と思い込んでいる典型的高二病なので、結局どちらとも結ばれることなく終わります。
令嬢は片目が不自由?オッドアイ?で、主人公はそれを知って躊躇するんですが(完璧さを求めてたんでしょうね)、向こうからアタックしてきたのに体のコンプレックスを暴かれて引かれて令嬢さん可哀想。
主人公はその衝撃で倒れて肺炎になって死にかけますが…ごめんなさい、正直「ざまあみろ!」って思いました。
メイドさんは令嬢ほど年上ではないですが、働いてきた経験のせいか主人公より大人びてるんです。だから恋に恋してる主人公と違って本当に主人公を好きになっていたのに、二股された挙句、肺炎になった主人公を助けるために「私の人生を神に捧げる代わりに彼をお助けください」的な理論で修道院入りしちゃった。
要するにこの映画の言いたいことは「高二病は人を不幸にするんだよねー、でも誰もが通る道だよねー」ってことだと思うのです。
ただ、メイドさんも令嬢も主人公に一度はなびいてるんですよね。両方とキスしてますし。メイドさんなんて人生を彼に捧げてますよね。それって、かなりいい思いしてません?これじゃあ、高二病患者に現実を教えているのか夢を与えているのかわからないですね。
どうせなら徹底的に夢見させるか叩き落とすかどっちかにすればいいのに、と思いました。原作知らないから、それ読んだら感想変わるかもしれないですが。


あ、どうも、僕です。嫁さんの感想があまりに立派で、僕のアホさ加減が思い切り露呈することになりましたね。嫁さんはとても僕と同じ映画を観てたように思えません。嫁さんの感想を見ながら、そういうことだったのか!と1時間遅れでビックリしてます。嫁さんは現実主義者なんだな、と改めて思いました。僕は、これはフランス語じゃなさそうだし何語なんだろうなーとかどうでもいいことばかり気になったり、よくわかんないけど絵がきれいだったからまあいっかーで終わらせてしまったんですが、嫁さんはひたっすら冷静な視線で観てたんですね。嫁さんは僕と違って、甘えもひいきもなく、画面に映っているものだけを評価する、まさに批評!と呼ぶにふさわしい感想を書くんですね。嫁さんにはいろんな映画を見せて感想を書かせてみたいです。
それと、嫁さんをすごいと思うのは、たった28分の映画からこんなに感じるところを見出してしまうことです。嫁さんに、どうすればこんなに物語を頭に貯蔵できるのか、コツを教えてもらいたい。これ、うちのおふくろもさっきそんなことを嫁さんに聞いてたな。僕が本とか読んでも飲み込みが悪いのはおふくろの血なんだろーか。
嫁さんは55点と申しております。僕は…よくわかんないけど、絵がきれいだったし、このアニメを作ろうと思った監督の意気とその労力を勘案し、まあ、60点。