悲しみや憎悪

ときどき、こうして自分が能天気に暮らせているのが不思議に思えることがある。僕にはまったく見えないが、世の中では毎日、何かしらの悲しみや憎悪が生まれ続けているはずだ。僕がいつそれらにぶつかってもおかしくないほど、無数に。
戦争とか、事故とか、大勢の人々が亡くなった話を聞いていると、よくこんな平和な暮らしができるものだと思ってしまう。自分の世界が崩れ去るような衝撃を受けた人たちが世の中には大勢いるはずなのに、僕は一見それらに無縁でいられるのだ。それは、多くの人々が、必死に負の感情をおさえているから…なのだろうか。僕が、もし、何らかのトラブルに巻き込まれたとして、理不尽な損害を被ったとき、その相手を僕は許せる自信がない。そんな負の感情が今まで世界中でどれほど積み重なってきたことか。それを考えると、到底今のような平和な世の中は生まれる気がしないのだ。
この世が平和という考えがそもそもの間違いなのだろう。