電車旅 水上〜土合編

電車のシートが汚れているとかって理由で外され、床に置かれている。「あつい!冬季間はドアレールにヒーターが入りますので注意してください」というドアの貼紙。こういうディティールに田舎ならではの風景がある。
次は湯檜曽。わざわざ遭難しに行くような気分だ。オクトネカン。山から霧が。
湯檜曽駅。トンネル内。どこなんだここは。
次は土合。すごい飛ばしてるけどずっとトンネルだ。土合駅。さあ降りるぞ。怖いけど。えっ!人多っ!怖い!この人たち幽霊じゃないよね!?てか寒っ!ひんやりしてる!
電車が走り去っていったけど、1分くらいしてもまだモーター音が聞こえる。湿気がすごい。まるで鍾乳洞だ。水が流れる音がずっと聞こえる。
待合室がある。トイレもあるが汚い。トイレットペーパーがない。グイッと引っ張って水を流すやつ。僕はウンコしないもん。
さあ階段だ。462段。上るだけだから感想も何もない。くれぐれもタンスとか持ってる時はこの駅で降りないほうがいい。階段は5段ずつ律儀に区切られており、上りやすい。10段おきに段数のプレートが貼られている。階段の脇を小川のように水が流れている。
着いた!あと少しだけ歩いて24段の階段を上れば、地上の駅待合室がある。往年の賑わいを思わせるなかなか立派な駅舎だ。
4〜5人の先客さんがいた。登山家かな?この駅が目的かな?
ベンチに腰を落ち着け、高崎で買った駅弁にありつく。下りホーム(地下)じゃとても食べる気にはなれない。
次の上り電車が来るまでほぼ1時間半。駅の中や周辺をウロチョロした。駅前のペンションに泊まりに来る人の気持ちや、廃墟と化した駅前の食堂(嫁さんが真っ先に興味を持った)が賑わっていた頃に思いを馳せたり。駅の記念ノートを読んだり。上りホームを望める謎の見張り台みたいなのにちょっと恐怖を感じたり。純粋に大自然を満喫したり。意外と退屈しなかった。
電車が到着する約15分前くらいに、突然照明がついた。自販機も動き出した。どうやら停電していたようだ。どこで電気を操作したかわからないが、僕一人だったら驚きすぎて泣いてたかもしれない。よくわからないけど、そろそろ電車が来ますよというサインだったのかもしれない。
上りホームは屋根もなく、極めて粗末なつくりだ。地上はいい。お日様を拝める幸せを噛みしめる。雨だけど。やがて電車が来た。こんなに電車が来て安心したのは、東成田に行ったとき以来かもしれない。ああ楽しかった。