僕は車を運転してはいけないタイプの人間

僕、近頃思うんだ。僕は車を運転してはいけないタイプの人間じゃないかって。
ゆっくり走ればいいとか、周りに気を配ればいいとか・・・そういう問題じゃなく、なんだろうな、自分でわかるんだよな。いつか自分は事故を起こすんじゃないかって。
この気持ちをわかってもらうのは難しいだろう。そして自分でも複雑な気持ちだ。だって、事故の怖さは自覚あるはずなのに、それでもそれを防ぎきる自信がないというこの矛盾だ。
たぶん、ときどきふっと集中力が消えるからかな。意識を失うとかじゃなく、一瞬この世から自分がいなくなってたような感覚。わかってもらえないだろう。しかしあるんだ。それが、たまたま気を配らなければならない場面で起きてしまったら・・・
自分で自分を制御できていないんだと思う。会社に、ポンコツな──いやポンコツという言葉に失礼だな──ボケナスな──いやボケナスという言葉に失礼だな──まあとにかくそんな人がいて、その人が車をぶつけたみたいなのね。なんというかその人って、どこか僕に似てて、その人の身になってみると、なるほど事故を起こすだろうなというのがわかるんだよね。それは、僕がその人の行動に似ているからなんだと思う。僕はその人に似ていると考えるだけでも屈辱なのだが、しかし気持ちがわかってしまうのはつらい。
その人も僕も大人じゃないんだ。たぶん、その瞬間で一番何が大切なのかを判断する能力が欠如しているんだと思う。大切なことのためには、ほかの楽しいこととかその時にする必要のない余計なことを捨てるだけの分別が備わっていないんだと思う。
こうやって自分を貶めても何も楽しくないし何の解決にもならないけどこれは自分の気持ちの整理のためだからまあ気にしないでほしい。しかし、車の運転だけでもここまで自分の判断力がないことを認識させられてしまうものなのだ。
人によっては、車を運転するなんて、台車を引くような感覚(いや台車を引くのだって難しいぜ!?)かもしれない。でも実は、そういう人たちって、きちんとした自分という土台があって、迷いがなくて、自信に満ちている、そういう人として完成された人なんだ。僕は教習所に通って、実技試験も筆記試験も通ったけど、本当にはからなければならないことをはかってもらってない気がしてならないんだ・・・