今日のお初 2019/10/8

胃カメラ*1

健康診断で異常と診断されたので、近所の内科に来た。

バリウムで異常が見つかったってことはやっぱり胃カメラをしなきゃなんないんだろうけど、口から胃カメラを飲んだという同僚から、「ひたすら吐き気と格闘しながら体を押さえつけられて人権を侵害された」と非常に楽しい体験談を聞かせてもらっていたので、鼻から胃カメラを入れられるようになった時代に感謝しつつ診察に臨んだ。

 

僕「あのぉ、鼻からも選べるんですよね?」

 

先生「選べますがおすすめしません。口からのほうが画質も良く、検査の精度も高いので、口からをおすすめします。口からは抵抗のある方が多いですが、麻酔が効いている間に終わりますので心配いりません」

 

僕「あっ………はぁ……………」

 

僕にはその説明に反論する力も、医学的見地も持ち合わせてなかったので無事口から胃カメラを入れることが決まった。

非常にまれですが、死亡(0.00013%)する可能性もあります。

というためになる胃カメラ説明書を読んだのち、絞首台に向かうような足どりで処置室に入った。まず、胃の粘膜を洗い流すという液体を紙コップ一杯飲んだ。大塚製薬が作ったアクエリアスみたいな味がした。次に一口大に丸く成形された氷になった喉の麻酔薬を口に含んだ。飴のように口で転がすそうだ。浅田飴が作ったキシリクリスタルみたいな味がした。

続いて腕に麻酔薬が打たれ、いよいよ検査台に寝転がる。心拍数がピコンピコン鳴ってるものものしい雰囲気だ。口になんだかよくわからないクソ苦い薬を噴射された。焦げたメープルシロップみたいな味がした。

つばは飲み込むとむせるので垂れ流しにしてくださいと言われ、口元に紙ナプキンが敷かれる。口にマウスピースを噛まされる。麻酔が効きながら噛み続けられるものなんだろうかと不安になる。部屋が薄暗くなった。次第に視界がぼやけていく。

いつの間にか部屋が明るくなっている。マウスピースもいつの間にかなくなっている。看護師さんが「ゆっくり起きてください」と言う。ええ〜まだカメラ入ってないのに麻酔切れちゃったのかよこりゃ拷問コースだな……と唖然となっていた。ピロリ菌を検査するとかで、白い錠剤を飲んだあと袋に息を吹き込んだ。それじゃまた呼びますので外でお待ちくださいと言われて待合室に戻る。

ん?ずいぶんカメラまで時間がかかるな。まだカメラ終わってないのにまた待合室に戻るなんてことあるのかね。

 

これって…

 

もしかして…

 

もう終わってる?

 

いや全然喉とか腹の中を何か通った感触がまるでないのよ。というか眠ったことすら覚えてないのよ。クソみたいに苦いクソ苦い薬を飲んだせいなのか喉がヒリヒリする感じはあるんだけど、確かに時計を見ると気付いたら30分くらい経ってるし……

また呼ばれて、さっきと同じように袋に息を吹き込む。看護師さんがお疲れさまでした〜という。おずおずと、あの〜カメラってもう終わったんですか?と聞く。看護師さんはよく聞かれるんですよみたいな感じで、はい、終わりましたよと笑顔で言う。

いっやぁ〜〜〜終わった〜〜〜いがくのちからってすげーわ〜〜〜話のタネとか武勇伝とか要らないわもう快適なのが一番だわ人権最高だわぁ〜〜〜

いや正直鼻からカメラ入れるっていうのも気が進まなかったのよ。だって鼻って……先生がくしゃみとかして間違って脳みそ入っちゃったらどうすんのよって感じだし……鼻毛に白髪生えてるし俺……以前ナイナイの岡村さんがインドネシアだかどっかの国に行って鼻からチェーン入れて口から出すなんてことやっててこの人芸人の鑑だなあと感心したの思い出すんだよね。

そんなこと考えてたら先生に呼ばれて、僕の胃だという写真を見せられて話を聞く。未だにカメラ飲んだ実感がないのでほんとにこれオレの胃か?という疑念がつきまとう。だがガンとか腫瘍とかヤバいものはなかったらしいので何よりだった。ただピロリ菌がいる疑いはあるのでまた一週間後来てくださいと言われた。

万とか軽くいくかと思ったら5700円だった。僕の人生の岐路だと思ってただけにいろいろ拍子抜けした。

*1:嫁さんが、僕が今日この記事を書くことを予想していて、「今日のお初」で記事検索していたことをお伝えしておこう。嫁さんは僕の思考をトレースできる