眼鏡を買った

ここまで長かった。眼鏡の処方箋を手に入れることすら覚束ず、僕は何事も要領悪く、何事も成し遂げられないクズ野郎だというところまでの心境になっていたが、どうにか処方箋を手に入れ、わざわざ電車を乗り換えまでしないと行けないようなJINSまで足を運んだ。
そこまでした甲斐があった。ようやっと僕は新しい世界を手に入れた。あらゆるものの輪郭が明瞭になり、人を睨まずとも遠くから誰なのか認識することができ、僕が失って久しい世界を取り戻すことができた。眼鏡に多くを期待しすぎるのは愚かだとわかってはいるが、しかしこれが僕の新しい一歩を踏み出す足掛かりになってくれたのだと思うと胸熱である。
あと、深い意味はないが、眼鏡を買えたことを嫁さんに感謝したい。深い意味はないが。