迷子になった

僕の実家で息子と嫁さんがすごくお世話になっているから、差し入れを持って行こうと思ったんだよ。
引っ越して一年半経ったとはいえ全然土地勘がなくて、割と家の周りで事足りてしまうからあまり出歩かないんだよね。まあでも割と近所にケーキ屋さんがあるっていうから行ってみたんだ。
地図を見ると遊歩道をひたすら一直線みたいだ。うんうんこれなら楽勝じゃちっともねえーーーーええー??途中で道がなくなったんだけど?!どうなってんの!?
中学生のときとか、こうやって無茶して土地勘のきかない場所行ってひたすら歩いたりしたなあ。気付けばうっそうと生い茂る真っ暗な河川敷に迷い込んだりしたなあ。
いかん、30分くらい歩いてる。暗さが深まるにつれて、中学生のときの思い出や、となりのトトロでメイが迷子になっているシーンとかが脳裏によぎる。いい歳こいて迷子だ。近くを通るjcらしき女の子に道聞いたら犯罪だよな。
今までいろんな街を歩いて、無鉄砲さでなんとか歩き通してきたが、ケーキ屋さんの閉店まであと20分を切った。くそお、使いたくなかったがスマートフォンの地図アプリの出番だ。
しかし使い方がわからない。使ったことがなかったからね。しかし現在地がつかめるだけでも本当にありがたい。一直線に・・・一直線にケーキ屋さんを目指す。
それでも迷ったが、なんとか着いた。ええー?!ここなのぉ!?地図と全然違うじゃんか!地図ではまっすぐだったはずのところが、90°右折が必要だったとか・・・
すごく自分が心配になった。自分の子供を見知らぬ場所へ連れて行ったとき、迷わず歩けるか。自分だけならいいさ、いくら迷おう勝手だ。しかし子供が一緒だったら・・・頼るべき大人が迷子になって大人が不安になってそれが子供に伝わって子供が泣いちゃってなんて光景が容易に浮かぶ。こういうことしてるところから自分が心配になる。スマートフォンに頼らないなんてただのカッコつけなのかな?頼れるものには思いっきり頼っちゃっていいのかな。そりゃ大人としてはしっかり下調べしていく必要はあるけれど、不測の事態でも動じない精神力も必要だよな・・・僕のトーチャンは少なくともまったく動じない人だった・・・
閉店5分前に着いたケーキ屋さんで買ったケーキは、汗と涙と雨が混じった複雑な味がした(嘘。まだ食べてない)。でも悪いけど地図はわかりにくかったぞ。