ひらめき きらめき イェイ

「二十四時間の出来事を洩れなく書いて、洩れなく読むには少なくとも二十四時間かかるだろう」と夏目漱石が書いてたとおり、僕の身の回りに起きたすべての出来事をすべて書き起こすのは途方もない徒労である。日記のネタがないときは、どんなに考えても思い浮かばないし、なんとかひねり出そうとしても、ここに書くまでもない本当に心底どうでもいい話ばかりで、いったいどこまでここに書いていいのか分からなくなり、結局何も書けない。
逆にネタがあるときというのは、日常の中から一歩パツーン!と抜け出たひらめきに近いものを拾えたときであり、そんなときはそのひらめきの陰になり一生日の目を見ない数多くの些細な出来事はまるで気にもならないのである。人の心のなんと現金なものか。
この話は、ネタがあるように見せかけて実は全くないことをごまかしている結果であり、つまり二度と使えない手なのである。