僕とコミケ

こんな時期だし、コミケの話でもしようか。
僕が参加したのは2008年冬と2009年夏だったかな。
僕が感じたのは、あれほど人生の中で無駄で不思議な時間はなかったということだ。それぞれ別の目的ではあるが、まったく同じベクトルを向いてひた走る人間が一堂に会する場というのは、それはそれは異様なものだった。あれ、あれ、なんで俺ここにいるんだろう?と何度も自分にゲシュタルト崩壊が起きた。自分がひどく場違いのように思えたのだ。
2008年12月29日。僕は、その頃は駆け出しのにわか東方厨で…今でも万年素人のにわかであるが…とにかく同人誌を欲していた。最初にアキバのとらのあなで出会った同人誌がいけなかった。『恋色白書』というひどく出来のいい霧雨魔理沙の合同誌だった。それで僕でも知らない場所にあった欲望のコンロに火がついたのだ。もっといい本を探そうと。
それが果てしない道だと気付くのにはあと1年近くかかった。僕が引っ越しを機に同人誌を中古に出そうと、佐川の発送センターまで同人誌の詰め込まれた段ボールを自転車の荷台に積んで寒空の下延々5キロの道を走ったその日までだ。(続く)