僕とコミケ その2

お気に入りのサークルさんを探し、そのサークルさんの過去作品を読みたくなり、総集編が出ないかと調べ、あるキャラの合同誌を読んだらまた新しくサークルさんが見つかり、もっと情報を集めようと、幻想板に入りびたり…
同人誌集めというのはどこかで折り合いをつけないと永遠に終わらない戦いなのだった。僕は年を取っていくがジャンルは次々と燃料が投下され続け生きながらえる。そう考えたとき妙にむなしくなって、足を洗おうと思った。
そんなことに思い至らなかった僕は、コミケで2万円近く平気で使い、バッグに大量の同人誌を搭載して奇妙な達成感を覚えていた。自分がうれしいのか、むなしいと感じているのか、よくわからなかった。
なんというか、あれほど自分がゴミのようだと感じる体験もなかった。マンガのためだけに全国から恐ろしい数の人間が集まり、建屋どころか屋根すらない場所で炎天下や寒空の下で整然と並ばされる、その徹底した合理性。その状況を平然とのむ人々。
あれが人間の欲望が具現化した世界なんだと感じた。あそこは世界の終わりに限りなく近い場所じゃないかと感じた。