子供が産まれました

5月22日、ワーグナーコナン・ドイルが産まれた日に我が子が産まれました。

昨日の夜、嫁さんが6分間隔くらいで陣痛が来るということなので、急いでお風呂に入り、入院グッズを揃え、いつでも出陣できる態勢を整えた(偉そうに言っているが、嫁さんが音頭を取ってくれたのであり僕はただの金魚の糞だった)。
真夜中の3時にさしかかろうという頃。いよいよ嫁さんが我慢できなくなり、タクシーを呼んだ。そのころ僕はのんきにうたた寝していたのは言うまでもないが、一気に目が覚め、嫁さんとタクシーに乗り込んだ。
妊婦さんの送迎に定評のあるタクシー会社で、運転手さんに聞いたところまさに夜中の3時から5時あたりが産気のゴールデンタイムなんだそうだ。嫁さんの分析では、敵に見つかりにくい夜中に子供を産んで子孫を残そうとする野生の本能の名残ではないかということだが。
病院に着くと、嫁さんはすぐさまLDR(分娩・回復・陣痛が1セットになった個室)に通された。僕はとりあえず外で待っててくださいと言われて、ボケーッとソファーに座っていた。
これあれだ、ドラマでよくありそうな、手術中って赤いランプがついた部屋の前で祈りながら待ってるお父さんの図をするところなんだ。ほどなくして呼ばれて入ったが、しかしLDRは見た目普通の広い個室であり、手術室って雰囲気は感じられなかった。ので僕はどういう顔して待ってたらいいのかよくわからなかった。この部屋で産むところまでいきますということだが。
嫁さんは、ノンストレステストというお腹の赤ちゃんの脈拍をはかる機械につながれていた。嫁さんはテキストで練習していたラマーズ呼吸法を必死に実践している(横浜市発行の育児の手引きのようなものに載っており嫁さんは陣痛が来るまえからきちんと練習していたのだ。こういうところが、教科書を大切に勉強してきた人なんだなと感じた)。僕は手を握ったり背中さすったりとかしていたが、どうやら破水があったようで一旦外に出される。
しばらくしてまた呼ばれる。あー入院ですよね、まだしばらくかかるんですよねと思ってたら、もうすぐ産まれそうですと言われて、えええええ!ってなる。立ち会い希望ですよねと言われて、いやそれはもうぜひと、仕事中呼ばれたりとかってのを想像していた身としては願ってもないことだった。でももうすぐって、マジでか??
部屋に入ると嫁さんはますます呼吸が荒く、しかし基本に忠実なリズムを繰り返していた。そんな真に迫った嫁さんの様子を見ると、あ本当にもうすぐなんだと感じた。
ここからがすごかった。普通のベッドと思っていたものが手術台のような姿にみるみる変形し(足を置くところが左右に広がり、子宮口が開かれるようになる)、クローゼットなのかな?と思ってた引き戸が開かれると洗面台や分娩器具が出てきて、あっという間に様相が一変した。LDRのトランスフォームだ。さっきまで実感はなかったが本当にここで産まれるんだとわかった。
先生や助産師さんが3~4人ゾロゾロ集まってきた。ここまで来ると僕は嫁さんの手をひたすら握るとか声をかけたりとかくらいしかやれることがない。そうしているうちに30分くらい経ったか。時刻はちょうど5時。夜が明けて空が白んでいた。
もう出てきてますよーという。ええ?さすがにこんなに早くは・・・ってうおお!!おる!!何か赤いのが、無言でぬるりと出てきてるぅ!!
こ、こんな感じなの!?こっから何時間とか粘ったり、産まれる瞬間オギャーフギャーって感じじゃないの?!い、いやとにかくよかった!嫁さんに笑顔が広がる。かなりスムーズに事が運んで驚いた。だがつわりで苦しんだ分スムーズに行ったっていいじゃないか。
赤ちゃんが泣き始めた。それで嫁さんは安心したらしい。きちんと、男の子を証明するものがついてる。
病院行って、出産まで一旦入院かなと思っていたら、流れで立ち会い出産になった。逆に構えなくて気負わず受け入れられて良かったかもしれない。まあ、構えたら何するとかないけどね。
ここまでは驚くほどスムーズだったがこっからが大変だった。子宮口?がかなり大きく裂けているらしく、かなり縫わなくてはならなかった。嫁さんはかなり相当痛そうだ。痛い痛いと大声で叫んでいる。そうして痛みを紛らわせているのだろう。この痛みは僕には耐えられないんだろうなと思わざるを得なかった。全部縫い終わるまで30分くらいだったと思うが、出産までの30分の倍以上に感じた。
終わると、念願の赤ちゃんとのご対面だ。もう写真とかも撮っていいらしい。え、もういいんだと思いながらいいねーそのポーズとパシャパシャ撮った。嫁さんによく似ている気がした。僕に似ているといえば、すごく無口でしゃべらないところ。産まれた赤ちゃんってこんなに無口なもんだろーか?