人に何かを薦められて、それを好きになれる確率はごくわずかだ。この曲がいい!とかこの映画がいい!とか言われると、過大な期待をかけてしまい、結局好きになれないものだ。
自分で見定め、気に入ったものを選んでいくのが最も理想的だとは思う。だが現代は情報が横行し、パソコンの前に座っているだけで誰かが何かを教えてくれるから、自分がわざわざ大枚をはたいたり駆けずりまわったりせずとも、おすすめのものがわかる。それが本当にいいものを楽しんでいるといえるのだろうか。
そう言いながらも、何かを買う前にはAmazonのレビューやぐるなび価格.comを確かめてしまう自分がいる。なぜなら、いくつも品物を買ったり店をめぐってお金を無駄にしたくはないからだ。買い物は必要最低限にとどめたいという心理。過剰な情報が、消費者を必要以上に慎重にしてしまっている。
僕も昔のように、ジャケ買いみたいな冒険をしなくなった。本当にいいものは、冒険と浪費の先にしか見いだせないのだろうか…。家計の緊縮と知識への貪欲さとの間で揺れ動くのであった。