今日のお初 2021/9/25

新型コロナウイルスワクチン接種2回目」
↓1回目はこちら
https://homecomputer.hatenadiary.jp/entry/2021/09/04/230828
お初なのに2回目とはこれいかにというところだが、なにせ1回目より副反応が重く出ることが多いと恐れられるワクチン接種2回目だ。ワクチンの効果が切れたらいずれまた仕切り直しのワクチン接種もあるかもしれない。そのときまた1回目2回目がリセットされることになるだろう。初めての2回目ということでそれを記録するまでである。
接種2回目の朝を迎えた。なんの因果か、1回目を接種したときと同じように雨模様だった。
ママ「あなたってもしかして雨男?」
今まで大事な局面で雨が降ってきた実感はないのだが、今回についてはそういうアレがとりついている気がする。
さすがに自転車で行くほど向こう見ずではないので歩いてクリニックに行くことにした。これなら自転車で転んで怪我するようなことは起きないだろう。なんせ自転車に乗ってないのだから。
クリニックまで徒歩15分ほどとやや遠かったが、いい運動になった。
いい運動なんてのんきなことを言ってはいるが、ワクチン接種後にこの道をまた徒歩で戻るというのはもちろんわかってはいた。接種後にいい運動というようなものは避けたいところではあるが、仕方ない。腕に注射以外の新しい穴をあけることはもうごめんこうむりたいし。何か少し腹が下るような感覚があったが気にしないことにした。
クリニックに着いた。10分ほど待って、順番が来た。ワクチンを接種した。ほとんど痛みは感じなかった。
怪我がないとこんなにスムーズにいくんだとしみじみ思った。少し安静にしてからクリニックを発つ。さっきよりお腹の下りが増している気がしたが、感染防止もあるしあまり病院のトイレは使いたくないので引き続き気にしないことにした。
雨が上がっている。あまり歩くスピードは上げずゆっくり帰るようにしたい。ママから教えてもらったのだがワクチン接種後に激しい運動をすると、心筋炎がひどくなり最悪死に至る場合があるそうだ。雨上がりの街をゆっくり散策するのも悪くない。2回目の接種が終わり、しばらくすると抗体が出来上がる。そうなれば──油断はできないが──感染リスクが減り新しい世界が広がるかもしれない。この雨上がりはそんな僕を祝福してくれているかのようだった。自宅までの道程は2/3程度にさしかかった。

ギ ュ ル ル ル ル

そんな中、水を差す奴が出てきた。いや実はさっきから気付いていたが無視していただけだった。しかし奴はとんだ自己顕示欲を発揮してきた。
いよいよ無視できなくなってきた。これでもまだ我慢できる気がしていた。だがそれが愚かしい考えであることに気付かされる。執拗に奴は攻め立ててくる。わかった。白状しよう。気のせいなんかじゃない、お前はそこにいる。だから話を聞こうじゃないか。しかし相手は聞く耳を持っていない。
全身から脂汗が噴き出す。その辺のくさむらにかがむ自分の姿なんかも思い浮かべてきた。こんなことになるならクリニックでトイレに行っとくんだった。
北条氏政という戦国時代の武将をご存じだろうか。小田原城豊臣秀吉軍に包囲され、しばらく籠城していたがやがて降伏したことが知られている。
北条氏政の好物は汁かけ飯であったという。ある日汁かけ飯を食べていて、汁の加減ができず何度も分けて汁をかけていたら、父の氏康がこれを見て、毎日食べているものなのにそんな加減もできないとは、そんなことで領主が務まるのかとたしなめられたとか。
遠のく意識の中、氏康さんの言葉が浮かんできた。毎日の付き合いなのに自分の腹具合もコントロールできんとは。そんなことで大事な家族が守れるのか。
愛しい我が家が見えてきた。急ぎたいが急ぎたくはない。なんせワクチン接種したてだ。出口を思い切り閉める無駄な抵抗を見せる。いよいよ挙動がおかしなことになる。まるでトイレを我慢している人の動きを搭載したロボットのようになっていたが、なりふり構う余裕などなかった。自分がこのあとどうなるのかわからなかったが、ともかくあと1~2分後には雌雄を決していることになる。
玄関のドアを開けた。鍵・かばん・時計を放り投げた。トイレに駆け込んだ。
ここに書けているということは、結果として、やや慌ただしかったが最悪の事態は免れたということだ。最悪の事態になっていたとしたら、ここに書かずに闇に葬ったか、あるいは「取り立てて語ることはない」の一文があったのみだろう。
副反応自体は1回目よりやや腕の痛みや倦怠感が心なしか重いか、くらいのものだった。僕にとっては副反応よりも副次的なイベントのほうが恐ろしかった。
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